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16.08.11Media
【2016.8.25 山口新聞】世界へ羽ばたく日本酒に
2016.8.25 山口新聞に掲載されました。
世界へ羽ばたく日本酒に 純米大吟醸「夢雀」1本8万8千円
山口の「アーキス」発売、今年は限定千本
山口市の一般社団法人「おんなたちの古民家」が別途事業のため設立した株式会社「アーキス」(本社・同市泉都町、松浦奈津子代表)は23日、県ゆかりの伊勢神宮の神米、イセヒカリで醸した純米大吟醸「夢雀」を発売した。日本酒の評価を世界で高めることなどが目的で、設定された値段は1本(750ml入り)8万8千円。ことしは限定千本を主に海外で販売する。
松浦代表(35)によると、2011年におんなたちの古民家を設立。古民家の仲介などに取り組んでいるうち山口市から定住サポーターに委嘱され、活動拠点になればと阿東の古民家を取得。本格活動を始めると地域から受け入れられ、交流の一環で稲作も始めた。減農薬栽培した米は米粉にもしてスイーツを作るなど米消費を応援。農家支援の方向性が定まると酒造りが視界に入った。酒造りプロジェクトのため昨年7月、アーキスを設立。さらにベンチャー支援「女性創業応援やまぐち」からプロジェクトが認定された。「ミス日本酒」との出会いもあり、「日本酒はワイン、シャンパンと同じ価値があるのに値段が安くて評価が低い」と聞き、どうせ造るなら世界を目指す高級日本酒の「ライスワイン」をコンセプトにした。
醸造は松浦代表の実家がある岩国市錦町の江戸期創業の蔵元「堀江酒場」に依頼。酒米としては実家が以前から栽培しているイセヒカリに着目した。昨年5月、ミス日本酒らも参加して50㌃で田植え。減農薬、有機農法で育てたイセヒカリは収穫後、掛け米は全国でも例が少ない18%、麹米は35%まで磨いた。昔ながらの「きもと造り」を中心に「速醸もと」もブレンドするなど仕込みを工夫し、今春に限定千本を搾った。
代理店を通した国内外の試飲会では「香りがよくメロンのような味わい」といった評価もあったという。商品名の「夢雀」は堀江酒場の代表銘柄「金雀」から取り、皆の夢を乗せて世界へ発信したい思いから命名した。販売価格は相談し、原材料費が通常の4倍かかっていることや18%の磨きなどから設定したという。千本はシリアルナンバー付きで、錦帯橋の架け替え古材でプレートを作った。
販売ルートは香港、ドバイ、フランスで交渉し、各250本ずつ着地させるという。香港は日本酒販売の酒類商が一手に引き受け、ドバイは2社の五つ星ホテルが手を挙げた。国内は高島屋が外商で扱い、すでに100本の予約が入っている。一般販売はアーキス(電話083-976-4725)で受け付ける。
山口市の本社で会見した松浦代表は「地元から世界へ羽ばたくお酒ができてうれしい。日本酒の価値を世界で認めてもらえれば」、堀江酒場の杜氏、堀江計全さん(39)は「硬質米のイセヒカリを18%まで磨いて分解しやすくした。今までにない華やかで味わい深い酒ができた。ワインのように寝かしてもいいビンテージ酒にしたい」と話した。来年は3千本、再来年は5千本」の生産を計画する。