NEWSお知らせ

お知らせ

※

18.01.12Media

【2018.1.12 日本経済新聞】日本酒、熟成で売る

2018.1.12 日本経済新聞に掲載されました。

日本酒、熟成で売る

山口のアーキス

酒造年度明示、「夢雀」100本

地域産品開発のアーキス(山口市)は日本酒で、ワインのように原料の収穫年を明示して熟成するビンテージ型の販売を開始する。まず同社が手掛ける純米大吟醸酒「夢雀(むじゃく)」の2016年度仕込み分100本を「夢雀2016」として4月に発売する。価格は750ml瓶で10万8000円(税別)とし、日本酒愛好家や富裕層の需要を見込む。

夢雀(税別8万8000円)は現在、店頭では高島屋の日本橋、玉川、新宿、横浜、大阪の5店と山口井筒屋(山口市)、アーキスのホームページで販売。アーキスでは百貨店のバイヤーや製造元の堀江酒場(山口県岩国市)などと協議し、味をみて今回のビンテージ酒については2万円のプラスを決めたという。新酒の「夢雀2017」は2000本前後を出荷し、4月から8万8000円で発売する予定だ。

ビンテージ酒は今後も継続し、新酒が出る時点で付加価値分を決める。日本酒の長期熟成は一部あるが継続的な年の表示は珍しく「ビンテージ日本酒」市場の確立を目指す。日本酒は熟成によって味の変化が起きるがアーキスでは年ごとの新米を使って醸造することによる味の違いも含めて提案したいとしている。

夢雀は伊勢神宮の神田由来の米「イセヒカリ」を専用畑で栽培、18%まで削って仕込んだ純米大吟醸酒。初年度は限定1000本の製造で、8万8000円という価格もあって話題を呼んだ。味も評価され、ドバイのアルマーニホテルなどにも納入されている。

アーキス

2015年7月創業の地域産品の企画、開発、販売を中心とする企業。松浦奈津子社長(36)の提案」が山口県の女性創業支援事業に選ばれたのを機に設立された。現在は日本酒プロデュースのほかカフェ運営、地域産品の開発、字幕作成事業などを展開する。18年6月期の売上高は8000万円の見込み。

企画当初から「ワインのように高値で取引される日本酒を目指す」(松浦奈津子アーキス社長)方向だったのと、製造元の堀江酒場で長期熟成酒の研究をしていたこともあり、今回のビンテージ化に向けて準備と検討を進めてきた。

17年5月に岩国市錦町に冷蔵庫を設け、試験用に保存してきたが味を見た結果、ビンテージ酒として付加価値をつけて売れる判断したという。夢雀は販売時に「冷蔵庫で保存すれば年々熟成した味が楽しめる」という注意書きを同封して、購入者に冷蔵保存を勧めている。今後も夢雀は仕込んだ酒造年度の年をつけ、毎年100本程度を保存して価値を決める方針。

日本酒は通常は冷蔵保存して1年程度で飲みきるのがよいとされる。しかし製造法や水の硬度などを変えることで、長期熟成に向く商品が作れることが知られていた。業界では5年、10年、30年といった商品も販売され、古酒専門のショップも登場するなど一部で人気が出始めている。

2018.1.12 日本経済新聞