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18.09.21Media

【2018.9.21 全国農業新聞】世界一の日本酒目指す

2018.9.21 全国農業新聞に掲載されました。

世界一の日本酒目指す

山口市 Archis 夢雀

世界一高価な日本酒とも言われる「夢雀(むじゃく)」。国内は定価8万8千円(750ml・税別)で販売され、海外では60万円で取引された実績も。企画開発・販売するのは山口県のベンチャー企業、(株)Archis(アーキス)だ。同社は「地域活性化」や「山口発世界」を狙い、世界一の日本酒を目指している。

製造、原料、販売全てにこだわり

同社の松浦奈津子社長(37)は、「古民家鑑定士」の資格を生かし、2011年に「(一社)おんなたちの古民家」を立ち上げた。活動は古民家再生にとどまらず、山口市で古民家再生+有機肥料による特別栽培米「田楽米」を農家と共同開発した。

この活動を経て、松浦さんはさらなるコメの消費拡大ができないかと考え、現副社長の原亜紀夫さん(49)に相談。元商社マンの原さんは、現状の資源や作り手を踏まえ、日本酒作りが最適と判断した。松浦さんと原さんは熟慮を重ね、海外の富裕層向けというコンセプトで、世界一の日本酒を目指しアーキスを立ち上げ活動を開始した。

「夢雀」は、製造、原料、販売に強いこだわりを持って作られる。日本酒は製造から1年が期限とされるが、ワインやウイスキーは古酒ほど価値が高い。海外で勝負するならそこが不可欠とし、日本酒の長期熟成ノウハウがあった山口最古の酒造「堀江酒場」へ依頼し、年々価値が上がるビンテージ型を製造した。

酒米に使用するのは、伊勢神宮の御神田で突然変異で生まれた希少な品種のコメだ。「どれだけ磨き上げても芯が強く割れない」(原さん)。通常35%程度の磨きが限度とされる中、18%まで磨いても割れず、香り高い日本酒が可能となった。水は、中国山脈から湧き出す錦川最上流の上質な硬水を使用する。

このようなこだわりを経て16年に千本が初生産され、海外でプロモーションも展開。ドバイでは60万円、香港は20万円で取引がされ、国内用も完売した。

そんな夢雀に農家の期待も大きい。酒米を納入する企業組合アグリアートジャパンの山見智盟代表(70)は、「私たちの活動は地域の農業振興が基本。この活動が地域活性化につながればと考えています。また新たな米の販売先としても期待しています」と話す。同社はこれまで一般的な市場価格よりも高値で酒米を買い取ってきた。原さんは「農家が命懸けで最高品質のコメを作ったことに応えたい」と話す。

17年は原料確保の問題で製造できなかったが18年は新たに2千本を製造した。多くの夢が詰まった夢雀。今後の動向が注目される。

2018.9.21 全国農業新聞