NEWSお知らせ

お知らせ

※

21.08.10Media

【2021.8.6 読売新聞】に掲載されました。

2021.8.6 読売新聞の経済面「ウィークリーけいざい」の「働くわたし流」に、Archis代表・松浦奈津子が掲載されました。 経済部の松田晋吾記者に取材していただきました。

高級日本酒で世界魅了

米ニューヨークの高級すし店で3月、8500ドル(約93万円、750ml入り)の純米大吟醸がメニューに登場した。山口県岩国市の老舗酒蔵がつくった「夢雀」。商品企画から輸出まで手がけ、「日本酒が高級品として世界で受け入れられた。ここまで来たか、とうれしくなった」と感慨はひとしおだ。

 

2021.8.6読売新聞

夢雀を世界に売り込む商社「アーキス」(山口市)を設立して6年。取引先は米国や香港、タイなど5か国・地域に広がった。日本の百貨店では10万円の値がつく。

山口県旧錦町(現岩国市)の山間部で生まれ、大学卒業後、山口市の情報紙記者を経て29歳で専業主婦となった。その時、人生を見つめ直した。「このままでいいのかな」。結婚しても自立した女性でありたい。実家の趣ある古民家がふと心に浮かび、県内にある古民家をカフェや民宿に衣替えする活動を始めた。

そこで農家と出会う。広がる耕作放棄地と深刻な後継者不足。米の消費量を増やすため酒造りを思い立った。目指すは海外セレブに選ばれる長期熟成の「ビンテージ日本酒」。賞味期限が比較的短い日本酒の常識を覆す挑戦だった。県内随一の老舗「堀江酒場」に開発を依頼し、2016年、華やかな香りと深いコクの夢雀が完成した。

元商社マンの副社長のつてもあり、富裕層が集まる中東ドバイの一流ホテルに持ち込んだ。トップソムリエが漏らした言葉は「ファンタスティック」。鳥肌が立った。約60万円の値が付き、知れ渡った。

売上高は19年度に1億円を超えた。だが新型コロナウイルスが直撃。海外からの受注は激減した。「壁にぶつかったら、原点を思い出す。自分がやりたいことをやっているんだ、と思えば次に進める」。大学院に通って持続可能性を学び、夢雀の売り上げの一部を、水に恵まれない地域に寄付する仕組み作りも進める。

原点は「山口がとにかく好き。世界に伝えたい」。今後は酒だけではなく、県内の銘品も発掘するつもりだ。そして夢雀のように、みんなの夢を乗せて世界に羽ばたかせたいと思っている。(松田晋吾)